霊蛇滝の伝説

 天正9年、伊賀の国を平定した織田軍は、柏原城を攻め落としました。そして城の名将横山万兵衛の軍を追って赤目の里に攻め込み、峡谷の入口で防戦した万兵衛を破り、ついには延寿院の八坊伽藍を焼き払ってしまいました。
 季節は紅葉の燃える秋。勝ち誇った武将は、赤目の峡谷の中に真っ赤な紅葉を見つけ、戦に勝った記念に紅葉の枝を折りとってくるよう部下に命じました。その部下が紅葉を折ろうとすると、一人の美しい乙女が現れ、「ここの紅葉はすべて人間の化身なのです。このように赤いのは、人間の血が通っているからです」と言ってとめましたが、部下は強引に紅葉を折ろうとしました。それを見た乙女は「この紅葉をわたすことはできません。私は霊蛇となって守り抜きます」と叫び、滝壺へと身を投じてしまったのです。すると、みるみるうちに空はかき曇って豪雨となり、雷鳴が天地を震わせる恐ろしいありさまに、さすがの織田勢も恐れおののいて逃げ去ってしまいました。このように乙女が霊蛇と化して谷を守ったことから、霊蛇滝と呼ばれるようになったそうです。

※この伝説は「伝説の赤目四十八滝」より抜粋したものです。